夏の厳しい暑さの中でも、快適さと上品さを兼ね備えて装うことができるのが、夏用着物です。通気性の高い素材や、見た目にも涼やかな色柄を取り入れることで、暑い日でも涼感を演出することができます。
日本には昔から「涼をまとう」という考え方があり、見た目の涼しさも装いの大切な要素とされてきました。
夏ならではの着物の魅力を、今回はご紹介します。
透け感の美
「見せる」ではなく「感じさせる」
夏の着物には、絽(ろ)・紗(しゃ)・麻(あさ)など、独特の素材が用いられます。
絽は、生地に細かい隙間を設けることで、通気性と透け感を同時に実現した織物。
紗はさらに軽やかで、透けるその風合いは、まるで光そのものをまとっているようです。
麻は、天然繊維ならではのさらりとした肌ざわりと、吸湿性・速乾性に優れ、古くから夏の定番素材として親しまれてきました。
これらの素材は、肌をあらわにするためのものではありません。
“肌と布の間にある風”を感じさせる。
その奥ゆかしさこそが、日本の夏の装いの美しさを形づくっているのです。
見えない部分にこそ宿る「涼」
涼しさの演出は、目に見える部分だけではありません。
肌に直接触れる襦袢や下着には、麻や吸湿性に優れた素材を選び、蒸れを防ぎます。
帯や帯揚げも、紗献上や絽縮緬など、透け感のある素材を合わせることで、装い全体に軽やかさが生まれます。
色使いも重要な要素です。
白や藍、水色、若草色など、目にも涼やかな色彩を選ぶことで、着る人はもちろん、見る人の心にも風が吹き抜けるような印象を与えてくれます。
動きの中に生まれる涼しさ
着物は、動きとともに風をまとう衣です。
歩けば裾がふわりと揺れ、帯の上の帯締めがそっと揺れる。
この「揺れ」や「たゆたい」こそが、静かな涼を感じさせる大きな要素。
自然と所作が丁寧になり、動きに美しさが宿るのも、夏の着物ならではの魅力といえるでしょう。
伝統と現代の快適性を融合して
近年では、柔らかな肌触りと優れた吸水性を有する新合成繊維を使用した高機能な着物も登場し、見た目は伝統的でありながら、洗濯のしやすさや速乾性といった機能性を兼ね備えています。
肌着に吸汗速乾素材を取り入れたり、冷感スプレーや扇子など、現代の工夫を加えることで、無理なく心地よい着物の時間を楽しむことができます。
美しさは、心に宿る風
涼しさとは、単に気温の問題ではなく、心に風を通すことなのかもしれません。
着る人の内側からにじむ涼やかさ、そして周囲の人にもそっと届けられる涼感。
それが、日本人の美意識に根ざした「涼をまとう」ということなのです。
この夏、軽やかな絽や麻を羽織り、風をまとうように街を歩いてみてはいかがでしょうか。
そこには、季節と調和した、静かで深い美しさがきっとあるはずです。
夏のきものを、
もっと軽やかに美しく
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